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伊萬里とは

日本で初て生産された磁器が,伊萬里です。
伊萬里の誕生は肥前鍋島藩,今の佐賀県有田町やその近郊の窯で、1610年代に始まりました。
その生産品は伊萬里の港から各地に積み出されたため、江戸時代以来、伊萬里焼と呼ばれて今日に至っています。
伊萬里は創始から約100年の間に技術と生産体制が発展し、染付とともに1640年代から色絵の生産も始まりました。
1660年代からは、オランダ東インド会社の注文による輸出用磁器が生産され、柿右衛門様式や金襴手様式の華麗な色絵磁器が完成し、国内外で広く知られるようになりました。
18世紀以降は、一般内需向けの大小さまざまな食器が生産され、各地に供給され消費拡大していきました。


初期伊萬里

伊萬里焼の中で161040年代頃までに作られたものは初期伊萬里と呼ばれます。
素焼きをしない生掛け焼成のため、肉厚の大らかな器形をしています。
力強く自由な筆致で描かれる文様は素朴で味わいがあり、中国の古染付(こそめつけ)の影響を受けたものも多く見られます。
初期伊萬里を焼いた窯跡からは染付を主に、青磁や銹釉(さびゆう)、瑠璃釉(るりゆう)などを用いた豊富な内容の製品が出土しています。



伊萬里染付山水文大鉢
17世紀前期 口径41.3cm 高台径124cm

伊萬里染付吹墨兎柘榴文皿
17世紀前期 口径19.0cm 高台径8.1cm

伊萬里青磁白抜丸文皿
17世紀中期 口径14.8cm 高台径7.5cm


たっぷりとした見込みに山水文を大胆に描いた大作で、呉須のムラやはみ出しも意に介さぬ豪快な筆づかいで表現されています。
器面に付着した砂粒のようなものや、口径に対し高台径が三分の一以下と極めて小さいことなど、初期伊萬里の特徴が随所に見られます。

兎や短冊には、型紙を置いた上から呉須を吹きかけて白抜きの文様を浮かび上がらせる、吹墨(ふきずみ)の技法が使われています。そのため、兎の輪郭線や短冊の文字は後から描き加えます。ここに大ぶりの柘榴文を取り合わせ、洒落た意匠に仕上げられた皿です。

口縁がやや張り出した皿で、青磁釉と透明釉が掛け分けとなっています。透明釉の部分は、二つの丸がわずかに重なるような形状で、これが皿の上の団子や餅を連想させます。青磁釉には所々にムラがありますが、これがかえって味わいにもなっています。


柿右衛門様式

17世紀中期から始まる伊萬里焼の輸出と、これに伴う技術革新により生まれたのが柿右衛門様式です。
オランダ東インド会社からの厳しい品質注文を受け
1670年代に完成し、ヨーロッパの王侯貴族から高い評価を受けました。
薄く歪みのない器形、素地は濁手(にごしで)と呼ばれる温かみのある乳白色で、ここに余白を生かして絵画的に上絵付を施したものがその典型です。
皿や鉢などの食器以外に、人形類も多く作られました。



伊萬里色絵松竹梅双鳥文皿
17世紀後期 口径21.5cm 高台径14.5 cm

伊萬里 色絵婦人像
17世紀末 高さ39.3cm

伊萬里 色絵馬置物
17世紀末 幅43.5cm 高さ45.0cm


薄く歪みもなく焼成された乳白色の素地に、上質の絵具で松竹梅に鳥の文様が描かれた皿です。
絵画的な意匠をまとめるように、口縁には銹釉が施されています。
同様の文様はマイセン窯などでも写されているため、ヨーロッパで人気のあったことがわかります。

左手を胸元にあて右手は下げ、左足をわずかに踏み出す姿の婦人像です。
御所髷(ごしょまげ)という髪形に、衣装は紅葉散らしの小袖と、桜花流水文の打ち掛けを帯でまとめたファッションです。
上質の絵具が、無機質の人形に温かみと華やかさを加えます。

ユーモラスな表情の馬の置物は、ヨーロッパへの輸出用として作られました。
頭部から素朴な体躯、短めの足は、いずれも型による成形のため内部は空洞です。
馬衣には龍文や鳳凰文、秋草文、七宝文などが鮮やかに描かれています。同様の馬は、本作を含め世界で六体確認されています。



金襴手

経済活動と町人の文化が高揚した元禄年間(1688-1704)、この時期に始まった新たなスタイルは金襴手(きんらんで)と呼ばれます。
染付が施された端正な素地に、上絵具と金をたっぷり使って器面をくまなく装飾した豪華絢爛な作風が特徴です。
それらは主に、国内向けと輸出向けに大別することができます。
国内向けは型物(かたもの)と呼ばれる特別注文品、輸出向けは王侯貴族の居館を飾った大皿や大壺がその代表です。



伊萬里 色絵赤玉雲龍文鉢
17世紀末〜18世紀前期 口径25.8cm 高台径11.7cm

伊萬里 色絵姫皿
17世紀末〜18世紀前期  口径28.6×19.5cm 高台径18.2×10.4cm
伊萬里色絵桜花酒宴文蓋付六角大壺
伊萬里色絵桜花酒宴
文蓋付六角大壺

18世紀前 高さ75.3cm



国内向け金襴手を代表する型物、その中でもとくに声価が高いのがこの鉢です。
腰が深く口縁が張り出した大ぶりの器形で、見込みに堂々たる雲龍文を据えています。
周囲には赤玉と呼ばれる大きな丸文と萌黄地の丸文を配し、地には幾何学文様を描き込み豪華な空間を構成しています。

十二単(じゅうにひとえ)の公家女性をかたどった変形皿で、俗に姫皿と称されます。
型物の一つとして知られるもので、身分の高い女性の祝賀的な目的のために特別生産されたものと推測されています。
艶やかな大垂髪(おおすべらかし)に上品な顔立ち、装束に施された華麗な文様が見どころです。

肩が張ったボディーに高い頸、鐔(つば)がついた帽子のような大きな蓋が載る形状は、輸出向け大壺の特徴です。
器面には満開の桜の下で酒宴を楽しむ人々が、染付を主に赤と金、わずかな黒で表現されています。
このような日本の女性や風俗のデザインは、輸出品によく使われました。






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