163 鍋島青磁鎌を差す牛大香炉 製作年代 延宝〜元禄(1673−1704年) h21.0cm

耳附花瓶と共に鍋島青磁の双璧である。釉色の凛然たる色感、濃い密度、構成の妙、どの一つを取りあげても、人間が身につける美意識をはるかに超えている。
この作品は情熱による創造か、天の配慮か、美の窮極は、作るもの自らの深みにおいてさぐられるのであるから、陶工の透徹した見識を讃えたい。
牛の手綱に差した鎌に鉄砂釉を掛ける。密度は濃く青磁釉はますます冴える。
想像を遥かに越え世界に類を断つ藩窯青磁不滅極点の作品である。